GPT for Workを調査|月額25ドルの「利用枠」の読み方と、会社のExcelに入れる前に確認する点
こんな人向け:Copilotの契約が無いままExcelの中でAIを使いたいが、海外製アドインを会社で使ってよいか判断材料が欲しい人
情報確認:2026年9月22日 料金・プラン内容は変更されることがあります。契約前に各公式サイトで最新情報をご確認ください。 当サイトでは料金情報を90日ごとに再確認する運用にしています(確認方針)。
何を調査したか
GPT for Work は、Excel・Word 用のアドイン「GPT for Excel Word」と、Google スプレッドシート・ドキュメント用のアドオン「GPT for Sheets and Docs」の総称です。提供元はルクセンブルクの Talarian S.à.r.l.。当サイトは 2026年9月22日 に公式サイト・公式料金ページ・セキュリティ FAQ・Microsoft の App Certification ページ・Google Workspace Marketplace を確認し、料金・機能・法人要件を台帳に記録しました。この記事はその調査結果の整理です。利用レビューではありません。 出力の精度や使い勝手は、当サイトには判断材料がありません。
位置づけ:Copilot でも「外で作って貼る」でもない第三の方式
Excel で AI を使う方法は、当サイトでは2系統に分けて説明してきました。ChatGPT のような外部の AI に数式を作らせて自分で貼る方法と、Microsoft 365 Copilot のように表計算ソフトの中で AI を使う方法です(Excel効率化の記事)。前者は個人で今日から始められる代わりに往復の手間が残り、後者は往復が消える代わりに Microsoft 365 の法人契約が前提になります。
GPT for Work はこのどちらとも少し違います。
セルの中に =GPT(...) のような関数を書き、AI をふつうの関数と同じように呼び出す方式です。公式ドキュメントには、GPT 関数は「ネイティブの関数とまったく同じように動き、単独でも他の関数と組み合わせても使える」とあります。分類なら GPT_CLASSIFY、抽出なら GPT_EXTRACT、表記の統一なら GPT_FORMAT、翻訳なら GPT_TRANSLATE といった専用関数が用意され、通常の数式と同じく範囲へコピーできます。
関数以外に、選択範囲へまとめて処理をかける「Bulk tools」(日付や電話番号の表記統一、分類、抽出、翻訳など)と、自然言語で指示する「Agent」があります。Agent が担う範囲として公式に挙がっているのは、数式の作成・修正・説明、データの整形、列や行の追加・並べ替え、条件付き書式、大きな範囲の要約、グラフ・ピボット・ダッシュボードの作成です。逆に、特定 URL のスクレイピングと、文書や画像を入力にすることは「まだできない」と明記されています。VBA や Apps Script のコードを生成する機能は、公式ページでは確認できませんでした(GPT 関数を VBA から制御できる、という記載があるだけです)。
つまり Copilot のように「表計算ソフトの中で」使えて、しかも組織契約を待たずに個人やチームで始められる。この組み合わせが GPT for Work の立ち位置です。整形・分類・抽出のような、数式では組みきれず手作業で潰していた作業を範囲単位で片づけたい人が、台帳の「向いている人」の中心になります。
対応環境は Excel 2016 以降(Windows / Mac)と Excel on the web。Microsoft 365 なら Version 2002 以降、Mac は 16.35 以降が条件です。1回のインストールで Excel と Word の両方、デスクトップと Web に対応します。
料金の読み方:月額25ドルに含まれる「25ドル分の利用枠」の意味
料金ページで最初に確認したいのは、月額25ドルが使い放題の金額ではないことです。
2026年9月22日時点の公式料金ページは米ドル建て・月額表示のみで、年額表示はありません。Standard(個人向け)が月額25ドル、Business(チーム向け)が1シートあたり月額45ドル、Enterprise は個別見積です。利用規約により税別です。
ここで見落としやすいのが「利用枠」の仕組みです。Standard にも Business にも「25ドル分の利用」が含まれていますが、これは席ごとの枠で、Business の中でも他のメンバーと共有されません。使った分は送受信したトークン量とリクエスト数に応じて減っていき、単価は各 AI 事業者の標準トークン単価にサービス手数料を上乗せしたもの、と公式は説明しています。未使用分は翌月に繰り越されません。
枠を使い切ったらどうなるか。「追加利用」をスペース単位で購入し、共有残高として使います。残高は最後の購入から12か月有効で、消費には有効なサブスクリプションが必要です。ただし、追加パックの単価とサイズは公式の料金ページに載っていません(ダッシュボード内でのみ表示されます)。月にどれくらいの処理をすると25ドル分を超えるのかも、公式ページからは読み取れませんでした。予算を組むうえで、ここは事前に確定できない部分として扱うのが正確です。
Business 以上では自社の API キーや AI エンドポイントを接続できます。この場合はリクエストごとにクレジットを消費し、モデルの利用料は各 AI 事業者へ直接支払う形になります。すでに OpenAI や Anthropic の API 契約がある組織にとっては、費用の見え方が変わる選択肢です。
無料プランはありません。インストール後に「お試しクレジット」が付き、カード登録は不要ですが、その額は公式に記載がなく、お試しで使えるモデルも GPT-5.6 Luna だけです。無料プランと無料トライアルの違いで書いた分類で言えば、これは「期限や量の見えない無料トライアル」に当たります。試すこと自体はできますが、何回分あるのかは触ってみるまで分かりません。
返金はありません。入力トークンは常に課金され、リクエストがタイムアウトしても出力トークン分は課金されると FAQ に明記されています。
円建て・請求書払いの記載が無い — 稟議で最初に引っかかる点
個人がカードで契約する分には、ここまでの情報で足ります。会社の経費で通そうとすると、別の疑問が先に来るはずです。日本円で払えるのか、請求書払いにできるのか。
確認できた範囲では、どちらも公式ページに記載がありません。決済は Stripe(カード)で、料金ページには税・請求書・発注書についての説明がなく、利用規約は「すべての料金は税を含まない」「前払いで返金不可」と定めています。Enterprise プランには「個別条件の契約」と order form の記載があるため、交渉の余地は残されていますが、公式ページから請求書払いが可能とは読み取れませんでした。
月額だけで選べないという記事で整理したとおり、米ドル建てのツールは為替で請求額が動きます。GPT for Work はそれに加えて、利用枠の超過分と追加パックの単価が公開されていないため、月々の請求額を稟議の段階で固定できない構造です。「月25ドル×人数」で申請すると、実態とずれる可能性がある点は先に押さえておいたほうがよいでしょう。
会社で使う前に見ること
料金以外で、情報システム部門や上長に説明を求められそうな項目を、公式の記載ベースで並べます。
入力データの学習利用 — 使いません。Talarian 自身も、Talarian のキー経由で使う AI 事業者も、入出力をモデルの学習に使わないとセキュリティ FAQ に明記されています。
データの保存先 — 米国です。Google Cloud の us-central1(アイオワ)リージョンに保存されます。国内保存を条件にしている組織には、この時点で合いません。
入出力の保持期間 — ここが分かれ目です。組み込みのモデルで使うと、入出力はサポート目的で30日、製品改善目的で最長1年保存されます(学習には使いません)。自社の API キーを接続した場合は、入出力を記録しないとされています。Ollama や Azure のようなカスタムエンドポイントを使えば、そもそも Talarian の基盤を通りません。ただし自社キーの接続は Business 以上の機能なので、「記録させたくない」なら Standard では足りないことになります。
認証 — サインインは Microsoft 365 または Google Workspace のアカウントで行います。SAML SSO は Enterprise プランです。Microsoft の App Certification ページでは、Microsoft Entra ID との連携と条件付きアクセスポリシーへの対応が「Yes」と申告されています。
監査ログ — GPT for Work の公式ページでは確認できませんでした。管理者が見られるのは、ユーザーごとの機能・モデルの利用状況とトークン・クレジットの消費量(CSV)です。誰が何を入力したかを追う仕組みは、公式の記載からは読み取れません。
認証・認定 — ISO 27001 は取得済み。SOC 2 は未取得です(Microsoft の App Certification ページでの Talarian の申告)。SOC 2 レポートの提出を導入条件にしている組織は、ここで止まります。
アドインを入れられるか — Microsoft 365 の組織アカウントでは、アドインの取得が組織の設定に左右されます。公式 FAQ には、ビジネスサブスクリプションの管理者は「管理者が管理」タブから開けることがある、という案内と、IT 部門に許可を依頼するドメインの一覧(*.gptforwork.com など)が載っています。管理センターから全社に配布する手順は公式ドキュメントにありません。自分の判断だけでは入れられない可能性がある点は、Copilot 待ちの代替として考えている人ほど先に確認したほうがよい項目です。
日本語 — Excel / Word 版の画面は 2026年8月27日のリリースで日本語を含む12言語に対応し、Office の言語設定に追従します。スプレッドシート版の画面の日本語化は公式に記載がありません。公式サイト・ドキュメント・サポートは英語のみで、日本語の窓口も見つかりませんでした。FAQ には「モデルは多くの言語で動くが、最良の結果は英語」とも書かれています。
どう検討を進めるか
ここまでを踏まえて、当サイトの整理はこうなります。
向いているのは、Excel やスプレッドシートで表の整形・分類・抽出を手作業でしていて、Copilot の契約が無い(または待てない)個人や小さなチーム。米ドルのカード決済で契約できる環境であることが条件です。
向いていないのは、無料のまま使い続けたい人、円建て・請求書払いが必須の組織、データを国内に置きたい組織、そしてアドインを自分の判断で入れられない環境の人です。
進め方としては、次の順が無駄がありません。
- 自分の Excel でアドインを追加できるか、最初に試す(組織の設定で止まるなら、そこで話が変わる)
- お試しクレジットで、自分の表に対して整形・分類・抽出をかけてみる(額が非公開なので、試す作業を先に決めておく)
- 個人で使うなら Standard、入出力を記録させたくない・チームで使うなら Business を候補にし、利用枠の超過が起きそうかを見る
- 会社の経費で通すなら、円建て・請求書払い・SOC 2 の3点を提供元に確認してから稟議に載せる
Excel カテゴリ全体の整理はExcel×AIの現在地、Copilot の料金の読み方はCopilotの料金表示の読み方にあります。GPT for Work の数値データと確認日はツール詳細ページを参照してください。料金・仕様は変わる可能性があるため、契約前に公式サイトで最新の情報を確認することを勧めます。
よくある質問
- この記事は実際に使ったレビューですか?
- いいえ。公式サイト・料金ページ・セキュリティFAQ・Microsoft の App Certification ページ・Google Workspace Marketplace を当サイトが確認した調査記事です(確認日は記事内に明記)。使用感や出力の精度についての評価は含みません。当サイトでは実際の利用記録がない記事を「レビュー」とは呼ばない方針です。
- 円建てや請求書払いで契約できますか?
- 確認時点の公式料金ページは米ドル建て・月額表示のみで、決済は Stripe(カード)です。請求書払いや銀行振込の記載は見つかりませんでした。Enterprise プランには個別条件の契約(order form)の記載があるため、円建て・請求書払いが必要なら提供元へ直接確認することを勧めます。
- Microsoft 365 Copilot とどう違いますか?
- Copilot は Microsoft 365 の法人プラン契約が前提で、Excel に組み込まれた形で使います。GPT for Work は Excel やスプレッドシートに後から入れるアドインで、個人・チーム単位の月額(米ドル)で始められます。データの保存先は米国、組み込みモデルで使うと入出力が最長1年保存される点が Copilot との違いとして確認できています。
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